乗鞍では初氷が張ったとか。初雪もそのうちに降ることでしょう。
2500mくらいの高い山では紅葉も始っています。10月上旬には見ごろです。
でも秋は標高の低い山もいいものです。
特に紅葉が始り、落葉し、晩秋の枯れ葉を踏みしめて歩くまで、秋の登山の楽しみは続きます。
高山グリーンツアーでは10月に2つのトレッキングを予定しています。
1つは川上岳(かおれだけ)。
このブログでも何度か紹介しています。
2つ目は位山。
こちらも今年の春先に紹介しています。
先日、川上岳の様子を見に行ってきました。
入山口は高山市にあるツメタ林道です。
厳密にはツメタ林道登山口は一般車通行止めの林道ゲートです。
徒歩で林道を上がっていくと、橋を渡ったすぐに「宮の大イチイ」の看板があり、ここが第1の入山口です。しかし正式にツメタ林道入山口となっているのはもっと先にあります。
ツメタ林道入山口から川上岳に登るルートは往復が一般的です。コースも整備がされています。
しかし変化があっておもしろいのは大イチイの入山口から川上岳と位山を結ぶ稜線に乗越し、頂上からツメタ林道入山口へ周回するルートです。
9月6日に、下見を兼ねてこのルートをたどってみました。以前に歩いてからほぼ2年ぶりでした。
一之宮支所の前の道をまっすぐ、位山へ向かうカーブを曲がらないで、宮川沿いに進んでいくとヌクイ谷の林道です。
途中から林道は荒れてきますが、普通車で通行に問題はありません。ただし大雨の時は注意が必要です。
この林道に入ってくるのは渓流釣り客くらいのもので、登山者は山之口に比べ大変少ないと思います。
宮川防災ダムの1キロほど手前にツメタ林道の入口があります。前述のようにゲートは閉まっています。平日は道路工事車両が作業をしていることがあります。
ゲート手前に車を停めて林道に入ります。以前は砂利がむき出しの荒れた道でしたが、粘土質の土でおおわれていました。この土が靴の底にこびりつくと、湿った場所や石の上が滑りやすくなります。今回、ビブラムソールの滑り止め効果が発揮されないことが多々あり、後で考えたらどうも粘土質の土が原因だったような気がします。
ツメタ林道を進むと途中に流れ込みがあり、そこに架かる橋を渡るとすぐに宮の大イチイの看板が現れます。(ちなみに・・・林道のさらに先にもう一つ橋があります)
沢に向かう道を下りると木橋が架かっています。
橋は壊れる寸前です。特に渡り終える最後の橋板数枚が傾いて滑るのです(粘土質の土のせいかもしれません)。
渓流を渡ったら橋の左下の岩場に下りたほうが安全だと思います。
宮の大イチイはサクに囲われて10mほど奥に立っています。
しかし全貌はよく分りません。周辺の木々の葉が落ちた後の方が、姿が見えやすくなるでしょう。
登山道は急な斜面をジグザグに上って行きます。
何度か繰り返した後、前方が明るくなりいったん尾根に出ます。
短い尾根から左手にこれから乗越す川上岳への稜線が見えてきます。
しばらく登ってまたトラバースすると、笹の斜面が現れます。
周囲の木を伐採された笹の尾根を登って行きます。見晴らしは少し良くなります。
天候によっては北アルプスが展望できるはずです。
しかし笹が伸び放題でした。
普段はしないのですが、顔にかかる笹を折っては前へ進んだので、少しは歩きやすくなっているはずです。
時間をかけて尾根を登り、ふたたびジグザグの道になれば稜線まではもうすぐです。
それまで角度のあった道が突然平坦になり、ようやく位山から伸びてきた稜線に乗越したことが分ります。
登山道に合流したら、標識に従い南へ向かいます。
アップダウンを繰り返しますが、大したことはありません。
紅葉の時期には楽しみな稜線です。
川上岳頂上まであと少し。振り返ると位山(左)が見えてきました。
右奥が舟山です。頂上にはテレビの鉄塔が林立しています。
背の高い木がほとんどなくなり、周囲の見晴らしが良くなりました。
左手には御嶽が間近に見えます。位山の後方遥かには乗鞍や穂高連峰が。
そして頂上が見えてきます。
休日はいつも多くの登山者がいる頂上ですが、この日は中年男性がひとりだけ。
しかし実は直前まで、還暦祝いのタスキをかけた男性とそのお仲間で頂上は賑わっていたとか。
下山する頃にはご夫婦が一組登ってきました。
川上岳の頂上から見晴らしの良い道を歩いていきます。
左の小ピークから右奥のピークへ。
何と、ドウダンツツジのいくつかがすでに紅葉を迎えていました。
小ピークを越えると山之口へ向かう道との分岐があり、わたしは右に折れて前述のピークへと進みます。
小ピークからの下りは意外と急です。枯れた笹が滑りやすく転ばないように気をつけて。
ピークへ何度か登り返し、距離標識のあるピークに着くと登山道が直角におれて樹林帯の中へと入っていきます。
ここでいきなり急な下りが。下りきる直前の石の上で気をつけていたにもかかわらず見事に滑りました。しりもちを着く直前に両手で身体を支えて事無きを得ました。・・・この時、やけに今日は滑るなぁと首をひねりました。靴底を見るとうっすらと乾いた土でコーティングされたようになっていました。あの粘土質の土です。
この後は、ほとんどが急な尾根の下りが続くので、いつもに増して慎重に歩きました。
中間点辺りには新しく宮川の源流域へ行ける道ができていました。
その先に、1404m地点があります。
木々の間から川上岳が見えています。
ツメタ林道の入山口手前は林道のために尾根が削られて細くなっています。
そのためロープや杭で安全が図られていますが、十分に気をつける必要があります。
以前、関東の或る登山道の同様な場所で女性が足を滑らせて林道に落下し亡くなられた事故がありました。
下山後はツメタ林道を下ります。
林道から望む川上岳の稜線。
大イチイの入山口の手前(S字カーブを曲がりきると)登りの斜面と尾根が望めました。
ちょっと長い林道歩きですが、こうして今日の登山の余韻に浸れます。
川上岳登山ツアー<入山日:10月18日(日)>にご一緒しませんか?
詳しくは
高山グリーンツアーのホームページをご覧ください。
最後に先日の奥穂高ジャンダルムでの事故のこと。
実は今回の川上岳への登りで岐阜県防災ヘリに遭遇しました。
若鮎2号機かどうか分りませんが、以前にも災害救助に飛び回っている防災ヘリを何度か見ることがありました。ただ、北アルプスの遭難救助では県警か民間ヘリの名は挙がっても、防災ヘリの名が挙がることは(私の知る限り)なかったと思います(県警ヘリなら救助のお金がかからないとか皆さんも話題にしませんか)。それが最初にニュースを知った時のちょっとした違和感でした。
今日の報道では、防災ヘリで3000m級の山岳地帯の救助経験がなかったとのことでした。遭難者の命を救うために緊急を最優先したとも言われています。ひとを救うと言う使命感には感服するとともに、その結果は残念でなりません。
また私たち登山者は自らの体調にもっと気を使わなければなりません。パーティでは仲間に遠慮して自分の不調を訴えないこともあります。それが今回の「病気遭難」となった要因かもしれません。
これからは中高年の登山はひとつのジャンルとの認識が必要です。登山の技術や知識、経験も重要ですが、体調管理も大切な世代です。
無理をしないで、楽しむ登山。そのために自分の健康について知っておきたいものです。