乗鞍硫黄岳登山ツアー報告

tozan

2010年08月11日 19:19

ずいぶん遅れましたが、8月2日に行った乗鞍硫黄岳への登山ツアーをレポートします。
ホテルを出発する時の高山市内は霧の中でした。
盆地の霧はその日が晴れると教えてくれています。しかし梅雨明けが早かったため、8月に入ると山に雲がかかりやすくなっていました。

乗鞍硫黄岳<標高2554m>
畳平(8:10)〜桔梗ヶ原平湯登山口(9:10)〜硫黄岳頂上直下(10:45)〜北アルプス展望地点(11:00)〜戻る〜硫黄岳ふもと(11:20〜昼食〜12:00)〜旧道分岐(12:15)〜雪渓〜四ツ岳と大丹生岳の鞍部(13:10)乗鞍スカイライン〜高山着

畳平に着くと駐車場はまだガランとしていました。出発する時には団体バスが到着し始め、この日も剣ケ峰は大勢の登山者で賑わうことでしょう。
わたしたちは鶴ヶ池を見ながら乗鞍スカイラインを戻ります。
道の両わきには高山植物が咲いていました。

イワギキョウなど石垣の間から伸びているものも多く、ちょっと不思議な気分にさせられます。なにしろ生えているのは雑草ではなく高山植物なのですから。

乗鞍スカイラインを桔梗ヶ原まで下っていきます。
のんびりしたトレッキング。道沿いはお花畑。
前方には朝日を浴びた烏帽子岳が平原の向こうに見えています。


花壇のような状態でいろいろな花を観察しながら歩きました。


桔梗ヶ原に近づくと左手の斜面の下に池が見えました。
円空上人が魔物を閉じこめるために千体の木彫を沈めたと言い伝えられている大丹生池です。


別天地のような桔梗ヶ原の風景に、乗鞍スカイラインがひとすじ。
見えている2つの山は左が烏帽子岳、右が大丹生岳です。

桔梗ヶ原にはその名の通りイワギキョウが群生しています。コマクサも見られます。
枯れているハイマツはかつて乗鞍スカイラインを通ったたくさんの車の排ガスによるもの。ハイマツが枯れると自然再生は難しいとのことです。でもそのおかげで排ガスの減った沿道はハイマツではなく高山植物のお花畑になったんですね。少々複雑な心境です。

道の東側が荒れ地っぽいのに比べ、西側は緑が多くコバイケイソウやクロユリが群生している場所もありました。


畳平の方を振り返れば、剣ケ峰が見えていました。

そして右手はハイマツの向こうに硫黄岳が見えてきました。


硫黄岳、烏帽子岳、大丹生岳および猫岳は四ツ岳を囲む外輪山で、烏帽子火山帯を形成しています。外輪山である4つの山は天辺が尖っている或いは細長いのに比べ、四ツ岳はこんもりとして見えます。これは頂上が火口丘で4つに分かれているからです。四ツ岳の名称もこの形状から来ています。

かつての駐車スペースから急斜面を下ります。標柱の右手に入山口はあります。
下り着いたところは外輪山の底です。
左手にある小山の下をトラバースするようにハイマツとダケカンバの間の道を進んでいきます。
小さなピークに着いて小休止。

前方には硫黄岳が見えてきました。
ここから振り返ると四ツ岳の下に小さな雪渓が見えました。

この雪渓は平湯の旧登山道の途中にあるもので、帰りに通ってみることにしました。

ハイマツを抜け、岩が点在する尾根を登って行きます。
尾根がゆるやかになると細かい砂のザレ地となり、まだ小さなコマクサが一面に咲いていました。

その中央を通っている登山道は道とは言えず、気をつけないとコマクサを踏み荒らしてしまいます。

座れそうな岩があっても休憩は諦めた方が良いでしょう。

硫黄岳の頂上には登山道は通っていません。
その点、目的地としては物足りないかもしれません。

頂上の下をトラバースして展望の良くなる岩のあたりまで行ってみましょう。
ここで展望を楽しんだ後、来た道を引き返します。


硫黄岳を下り、コマクサの斜面を過ぎた辺りに休憩できる岩地があります。
今回はここで昼食となりました。
帰るルートはスカイライン下の急斜面を登らず、雪渓を通過して旧道を使うことにしました。
ただし長く廃道となっているため注意が必要です。今回は旧道経験者が2名いたので可能となりました。また、くれぐれも平湯方面には向かわないこと。

さっき見えていた雪渓へと向かいました。

雪渓の下は解けて、場所によっては崩れる危険があります。
雪渓歩きに詳しい経験者が通過ルートを判断して、解けて空洞ができ浮いているところは避けるようにします。
雪渓が遅くまで残るため、まわりは高山植物がお花畑を作ります。

チングルマが群生していました。

旧道は荒れてハイマツなどの薮を漕ぐところもあります。
道が消えているところはリーダーがルートを見つけるように進みます。
いったん広場に出ます。

目指す方向は大丹生岳を左手に見ながら烏帽子岳の方向の低くなっている辺り。そこに乗鞍スカイラインのヘアピンカーブの末端があります。
旧道はところどころ消えますが、跡は残っています。見失わなければ迷うことはないでしょう。
やがて原っぱのようになると終点です。


実はこの時やってきたパトロールの人から驚きの情報が。
ほんの15分ほど前に、このあたりで熊が目撃されたらしいのです。
鉢合わせとならず安堵しましたが、昨年の事件もあり緊張した一件でした。
また今回はツアー用車両を利用できましたが、個人でいかれる場合は入山路を往復し畳平へ戻るほうがよいでしょう。乗鞍スカイラインのヘアピンカーブを上るのは大変ですから。

お盆の時期を迎え、天候は不安定になりやすくなっています。
装備には十分な配慮が必要です。もしかしたら熊鈴も(笑)。

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今後のツアー
◎秋風吹く西穂高丸山へ 9月14日(火)入山
◎秋を迎えた乗鞍剣ケ峰 9月27日(月)入山
◎紅葉と北アルプス展望の天蓋山 10月13日(水)入山
◎飛騨の霊峰位山を周遊登山 10月23日(土)入山
◎上高地スノートレッキング 2月6日(日)入山
◎乗鞍高原スノートレッキング 3月6日(日)入山

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