2009年11月08日
晩秋の猪臥山
高山グリーンツアーでは今年の登山ツアーがすべて終了し、飛騨の山は晩秋を迎えています。
しかし紅葉が終わっても、秋の山はまだまだ楽しめます。
木の葉が落ちて見通しが良くなり、山の形や周辺の様子など深く山を知ることができるのもこの時期。
かさかさと音を立てながら枯れ葉を踏みしめて歩いていると、自然の静寂の中に自分の存在を再確認できるような気もしてきます。
やはりゆっくりと時間をかけて歩くのが晩秋の山歩きには似合っています。
平湯から高山市街へ向かう丹生川町の国道158号線から晴れた日には白山が眺められますが、山が好きな人にはそれにも増してその手前にあるどっしりとした山塊が気になることでしょう。
その猪臥山(標高1519.1m)は、数年前に卯の花街道(清見〜古川)が開通し、彦谷側の猪臥山トンネル手前に登山道が整備されました。
林業用として開かれた道を使うため、整備前は尾根のところどころで注意が必要となる登山道でしたが、現在は登山道が雪に埋もれていない限り迷うことはほとんどありません。
県道沿いに広い空き地があり、その一角に登山口があります。

入山してすぐから急斜面をジグザグに登り、まもなく尾根に取りつきます。
ここからはほとんどが尾根道を歩いていきます。
途中で小ピークが分岐になっていて、左へ迷いやすいため木の枝で柵が作ってありました。

ここは標識に従い右へ尾根を下っていきます。
尾根の登り下りを何度も繰り返していると、右手に猪臥山の先にある電波塔が見えてきました。彦谷を隔てた向いの山上にありますが、あそこまでは尾根をぐるりと回っていかなくてはなりません。
尾根下のカラマツが黄葉してきれいです。
登山道にはカエデなどの広葉樹の落ち葉が、重なり厚く積もっていました。

急登を繰り返し、ようやく主尾根に取りつきました。
ここまで約1時間程。ほとんど休憩なしで一気に登り、ここですでに達成感が。
しかしここからが長いのでした。
主尾根は細く、しかも途中から急でした。
木々の間から見える山容はおそらく猪臥山から伸びるU字の尾根でしょう。

尾根の下には植林されたカラマツ林が黄金色に光っていました。
そして最後の急登を登り着くと、尾根はこれまでとは違いゆるやかになります。

ここからはカラマツ林の中をゆったりと歩いていけます。
高原と錯覚するような幅を持ち、陽射しも入り明るい尾根でした。

枯れ落ちたカラマツの葉がふかふかの絨毯のようでした。

カラマツ林が終わると尾根を一気に下り、今度の登り返しは針葉樹林帯の暗い森です。
そのため少し肌寒くなってきました。
この森を抜けたところで、山頂まで1.5kmの立て札が登場。
笹原とまばらに立つ木々が現れると、猪臥山が近いことが実感できます。
やがて小ピークを越えて眼前が開けました。

ふと見ると看板の上部に「マムシ注意」の手書き文字が・・・。
ここからは展望を楽しみながらの稜線歩きです。
目指す猪臥山も見えています。

快晴で気持ちがいいのですが、冷たい風が吹いていました。
振り返れば、登ってきた尾根や彦谷の県道が見えます。

ぐるりと白山や奥美濃の山、御嶽、乗鞍、そして穂高槍の山並みが見え、遠くに白い雪をかぶっているのは薬師岳でしょう。
笹原の間をゆったりと登り終わると猪臥山の頂上でした。

ここまでの所要時間は約2時間10分(休憩含まず)。単独のため早く歩いてしまいました。
平均では3時間はかかるとのことです。
ここまでで周遊する全行程の半分。
祠の右手に電波塔への道があります。まっすぐ下ると小鳥峠(国道158号線沿いにも小鳥峠がありますが、それとは違います)からの林道駐車場があります。
ここからも尾根歩きですが、登山道の左右で植生がまったく違っています。
右の清見側がカラマツ、左の古川側はシラカバやブナの広葉樹林です。
これは、この道がもともと林業のために作られたものだということが分る一例。
一定の間隔で境界を示す標識が埋められていました。
猪臥山から急斜面を滑らないように気をつけながら下り、続いて急登を隣のピークへと登って行きます。
ピークには展望台がありました。

しかし猪臥山からの展望にくらべ、あまり良いとは言えません。
とりあえず、彦谷の反対側へとやってきたのは確かです。
展望台の右にある道を電波塔に向かって進んでいきます。
カラマツ林の尾根道は、何度も登り返しを繰り返しました(なかなか着きません)。
ようやく林の間に電波塔が現れました。

電波塔の敷地ではショベルが土木作業を行っていました。
右手に林道がありますので下っていきます。
この林道は彦谷へは行かず、国道158号へ合流しています。そのため途中で林道から登山道へ入らねばなりません。
巨大なガードレールが現れました。

このガードレールがいったん切れて、ふたたび現れたら、その先のカーブに登山道への入口があります。

ガードレールにあるすき間が入口。ちゃんと看板があるのですぐ分ります。
いったん登り、その後はずっと下っていきます。
この道では何本もの巨木に出会います。
逆光で巨大な異形のオブジェに見えたものが、振り返って見るとやさしい立ち姿だったり・・・。

何度か急斜面があり、大変滑りやすくなっています。
ほとんどが尾根を歩いていきますが、その終わり近く、ちょっと迷いかけました。
良く見てみると、尾根の方向に枝が置かれていることが分りました。

左に枝尾根があり、その方向の木に赤いテープが貼ってあります。
急な上に滑りやすい枝尾根です。幹や枝につかまりながら慎重に下りました。
間違っていたら登り返すのはいやだなと思いだした頃、林道らしき空間が下方に見えました。
下り着いたのはその林道の終点。

間違えないでよかった・・・。
廃道となった林道です。大木が倒れて道をふさいでいました。

10分ほどで卯の花街道に合流します。
閉まっているゲートを脇から通り抜け、卯の花街道に出たら右へ歩いて入山口へ戻ります。

猪臥山周遊路は約4時間半の所要時間でした。平均では5時間半(休憩含まず)はかかるようです。
技術的には下りで転倒しないこと。体力的には初心者にはきついと思います。
ほとんど尾根歩きなので、登りは必然的に直登となります。
主尾根に取りつくまでに体力を使いきらないようにしないと、後半が辛くなるでしょうね。
しかし山を歩き慣れた人には、楽しい山行となること請け合いです。
夏は笹が伸びてしまうので、その前か、笹が刈り取られた後の特に紅葉期が適期でしょう。
しかし紅葉が終わっても、秋の山はまだまだ楽しめます。
木の葉が落ちて見通しが良くなり、山の形や周辺の様子など深く山を知ることができるのもこの時期。
かさかさと音を立てながら枯れ葉を踏みしめて歩いていると、自然の静寂の中に自分の存在を再確認できるような気もしてきます。
やはりゆっくりと時間をかけて歩くのが晩秋の山歩きには似合っています。
平湯から高山市街へ向かう丹生川町の国道158号線から晴れた日には白山が眺められますが、山が好きな人にはそれにも増してその手前にあるどっしりとした山塊が気になることでしょう。
その猪臥山(標高1519.1m)は、数年前に卯の花街道(清見〜古川)が開通し、彦谷側の猪臥山トンネル手前に登山道が整備されました。
林業用として開かれた道を使うため、整備前は尾根のところどころで注意が必要となる登山道でしたが、現在は登山道が雪に埋もれていない限り迷うことはほとんどありません。
県道沿いに広い空き地があり、その一角に登山口があります。

入山してすぐから急斜面をジグザグに登り、まもなく尾根に取りつきます。
ここからはほとんどが尾根道を歩いていきます。
途中で小ピークが分岐になっていて、左へ迷いやすいため木の枝で柵が作ってありました。

ここは標識に従い右へ尾根を下っていきます。
尾根の登り下りを何度も繰り返していると、右手に猪臥山の先にある電波塔が見えてきました。彦谷を隔てた向いの山上にありますが、あそこまでは尾根をぐるりと回っていかなくてはなりません。
尾根下のカラマツが黄葉してきれいです。
登山道にはカエデなどの広葉樹の落ち葉が、重なり厚く積もっていました。

急登を繰り返し、ようやく主尾根に取りつきました。
ここまで約1時間程。ほとんど休憩なしで一気に登り、ここですでに達成感が。
しかしここからが長いのでした。
主尾根は細く、しかも途中から急でした。
木々の間から見える山容はおそらく猪臥山から伸びるU字の尾根でしょう。

尾根の下には植林されたカラマツ林が黄金色に光っていました。
そして最後の急登を登り着くと、尾根はこれまでとは違いゆるやかになります。

ここからはカラマツ林の中をゆったりと歩いていけます。
高原と錯覚するような幅を持ち、陽射しも入り明るい尾根でした。

枯れ落ちたカラマツの葉がふかふかの絨毯のようでした。

カラマツ林が終わると尾根を一気に下り、今度の登り返しは針葉樹林帯の暗い森です。
そのため少し肌寒くなってきました。
この森を抜けたところで、山頂まで1.5kmの立て札が登場。
笹原とまばらに立つ木々が現れると、猪臥山が近いことが実感できます。
やがて小ピークを越えて眼前が開けました。

ふと見ると看板の上部に「マムシ注意」の手書き文字が・・・。
ここからは展望を楽しみながらの稜線歩きです。
目指す猪臥山も見えています。

快晴で気持ちがいいのですが、冷たい風が吹いていました。
振り返れば、登ってきた尾根や彦谷の県道が見えます。

ぐるりと白山や奥美濃の山、御嶽、乗鞍、そして穂高槍の山並みが見え、遠くに白い雪をかぶっているのは薬師岳でしょう。
笹原の間をゆったりと登り終わると猪臥山の頂上でした。

ここまでの所要時間は約2時間10分(休憩含まず)。単独のため早く歩いてしまいました。
平均では3時間はかかるとのことです。
ここまでで周遊する全行程の半分。
祠の右手に電波塔への道があります。まっすぐ下ると小鳥峠(国道158号線沿いにも小鳥峠がありますが、それとは違います)からの林道駐車場があります。
ここからも尾根歩きですが、登山道の左右で植生がまったく違っています。
右の清見側がカラマツ、左の古川側はシラカバやブナの広葉樹林です。
これは、この道がもともと林業のために作られたものだということが分る一例。
一定の間隔で境界を示す標識が埋められていました。
猪臥山から急斜面を滑らないように気をつけながら下り、続いて急登を隣のピークへと登って行きます。
ピークには展望台がありました。

しかし猪臥山からの展望にくらべ、あまり良いとは言えません。
とりあえず、彦谷の反対側へとやってきたのは確かです。
展望台の右にある道を電波塔に向かって進んでいきます。
カラマツ林の尾根道は、何度も登り返しを繰り返しました(なかなか着きません)。
ようやく林の間に電波塔が現れました。

電波塔の敷地ではショベルが土木作業を行っていました。
右手に林道がありますので下っていきます。
この林道は彦谷へは行かず、国道158号へ合流しています。そのため途中で林道から登山道へ入らねばなりません。
巨大なガードレールが現れました。

このガードレールがいったん切れて、ふたたび現れたら、その先のカーブに登山道への入口があります。

ガードレールにあるすき間が入口。ちゃんと看板があるのですぐ分ります。
いったん登り、その後はずっと下っていきます。
この道では何本もの巨木に出会います。
逆光で巨大な異形のオブジェに見えたものが、振り返って見るとやさしい立ち姿だったり・・・。

何度か急斜面があり、大変滑りやすくなっています。
ほとんどが尾根を歩いていきますが、その終わり近く、ちょっと迷いかけました。
良く見てみると、尾根の方向に枝が置かれていることが分りました。

左に枝尾根があり、その方向の木に赤いテープが貼ってあります。
急な上に滑りやすい枝尾根です。幹や枝につかまりながら慎重に下りました。
間違っていたら登り返すのはいやだなと思いだした頃、林道らしき空間が下方に見えました。
下り着いたのはその林道の終点。

間違えないでよかった・・・。
廃道となった林道です。大木が倒れて道をふさいでいました。

10分ほどで卯の花街道に合流します。
閉まっているゲートを脇から通り抜け、卯の花街道に出たら右へ歩いて入山口へ戻ります。

猪臥山周遊路は約4時間半の所要時間でした。平均では5時間半(休憩含まず)はかかるようです。
技術的には下りで転倒しないこと。体力的には初心者にはきついと思います。
ほとんど尾根歩きなので、登りは必然的に直登となります。
主尾根に取りつくまでに体力を使いきらないようにしないと、後半が辛くなるでしょうね。
しかし山を歩き慣れた人には、楽しい山行となること請け合いです。
夏は笹が伸びてしまうので、その前か、笹が刈り取られた後の特に紅葉期が適期でしょう。
Posted by tozan at 00:56│Comments(0)
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